小物に込められた花嫁のきもち
打掛や本振袖など花嫁衣裳一式には、衣裳の他に様々な小物がつきます。
それらの小物は実用品だったものが、装飾品となって今の時代の花嫁衣裳に花を添えています。
「筥迫(はこせこ)」はもともと、椀についた紅をそっと拭うための懐紙や鏡などを入れるのに用いられ、現代でいう化粧ポーチの役割を果たしていました。身だしなみのために花嫁が忍ばせる筥迫は、周りの方への心づかいや花婿への愛情がつまった「秘密の小箱」です。
同じく胸元にさすものが「懐剣(かいけん)」です。女性が非常時に備え、短剣を所持する習慣が受け継がれました。そして「自分の身は自分で守ります」という花嫁の決意を表し、「結婚生活の中で起こる喜びも悲しみも共に越えていきます」という意味が込められています。
そして「末広(すえひろ)」。末広は扇子のことであり、「末に広がる幸せ」と言われ、おめでたいものとされています。また、相手が暑ければすぐにお使いくださいという気遣いを示し、花嫁に限らず男性も正装には必ず扇子を用います。
このように、小物一つ一つには意味があり、花嫁には欠かせない装飾品となっています。是非、衣裳だけではなく小物にも目を向けて選んでみてはいかがでしょうか。
TAKAMI BRIDAL
若宮の杜 迎賓館 衣裳室
マネージャー
和田 歩