婚姻 ~「婿入り婚」から「嫁入り婚」への流れ
日本の婚姻は、時代によって、また身分によって、さまざまな形態をとりながら変化してきましたが、民俗学者の柳田國男氏によると、大きく分けて、婚姻の形は、「婿入り婚」「足入れ婚」「嫁入り婚」という順に変わってきたということです。
「婿入り婚」といわれる形は、古くは『源氏物語』のなかでも書かれているように、男性が女性の家に通うというもの。「通い婚」「妻訪い(つまどい)」ともいわれていました。そして、女性方が公認すると婚姻成立の祝いなどが、女性方で行われました。
戦国時代から江戸時代になると、男性の家に女性が嫁ぐ「嫁入り婚」の形がとられるようになって、現在の結婚式の原型である婚礼「祝言(しゅうげん)」が始まり、それが一般庶民の間にも広まっていきました。
しかし、いずれの場合にも、婚姻の祝いや儀式などは、婿か嫁、いずれかの家で行われるのが一般的で、現在のように別の場所を借りて式を行うようになるのは、明治以降になってからのことです。
若宮八幡社
宮司
副野 均